2Dアニメ用のキャラをイラレで作ってみよう(その3)

はらだ(イラストレーター)
万年眼鏡

やっと暖かくなってきて嬉しいはらだです。
冬生まれだけど冬はしんどい。

前回「2Dアニメ用のキャラをイラレで作ってみよう(その2)」の最後に、 検証したキャライラストデータを使って他のキャラも作ってみたいと言いました。
ですがその前にSpine上でどう動かすのか考えないことにはキャラのバリエを作っても無意味と感じましたです。
というわけで今回は先に動きを検証してみたいと思います。

【動きを検証するための条件】

  • 100体以上のキャラの量産にも耐えられるよう、Spineで作成するボーンは全キャラ極力同じものを使えるようにしたい。
    動きはまず
    • ステータス画面などに使える「待機アクション」
    • 攻撃やスキル発動の動きに使える「攻撃アクション」
    • 勝利・成功などに使える「喜びアクション」
    • 敗北・失敗などに使える「悲しみアクション」
      の4パターンを想定。
  • 女の子キャラオンリー。男性キャラなど出ない前提なので、男女兼用の動きじゃなくてOK。

では検証していきましょう。

可動範囲を考えよう

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 前回検証した女の子から、汎用性のある素体を作りました。
しばらくこれを使って色々確かめてみましょう。

さてさて、この素体の子のように全キャラが体にぴったりフィットした服であれば

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 こういうふうに腕を内側に曲げても全く問題ないのですが、ゆったりした着物を着たキャラだったりすると

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 袖が腕と一緒に動くので絵的におかしくなってしまいますよね。
ということは腕は体の外側にのみ動かすようにしたほうがよさそうです。

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 おそらくはこの赤の範囲で手足を動かすのがいいと予想します。

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 予想の可動範囲を考慮しながら、4つのタイプの動きを考えました。
しかし、全キャラ同じ動きしかしないとなるとちょっと無個性かも?
じゃあ例えば「待機アクション」のみ足の屈伸運動だけ共通にして、腕を動かさない代わりにキャラごとにポーズでバリエをだすのはどうだろう、なんて案も考えました。

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 こんな感じ。
ディフォルメ担当の負担が増えますが、キャラクターは表現できるしSpine担当に負担はかけないはず。
とりあえずこれは1案で、検証は「待機アクション」も手が動く想定でやってみます。

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 さっき考えた4パターンの動きのイラストを全て位置揃えで揃えました(ちょっと気持ち悪い;)
うんうん、この動きなら予想した可動範囲内でイケそうですね。

可動範囲とキャラの髪・服の関係を考えよう

では今までに作ってきたキャラ素体と動きで、キャラの髪や服にどんな制限がありそうか見ていきましょう。

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 髪型は紙に描いて検証した時点でそんなに厳しい制限はなさそうに感じました(髪にボーンは入れない前提です)。
なのでIllustrator上であまり多くは検証してません。
左腕のほうが顔より上にくるレイヤーなので、左肩の関節に髪がかかってしまう表現はアウトです。
肩の関節は避けるよう注意。

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 そでもこれだけのバリエーションがいけそうです。
ほとんどのものは問題ないんじゃないかなー。

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足元は難しいですね。スカート系は足の可動範囲を考えながら広げる必要があります。なので細身のスカートは難しいですー。
でもほとんどのボトムはなんとか表現できそうですね。

非常に悩んだのが体にフィットして且つ足元まで長さがあるマーメイドスカートの場合。
足と足に隙間ができないように、間に同色のオブジェクトを入れてみるなどしてみましたが、これでジャンプした時の見栄えってどうなの…。
最悪Spine担当さんと相談して、これだけ新規ボーン作ってもらったほうがいいのかしら…。

あと、下半身が人外の場合も一応見てみました。
Spine担当さん、こういうのが来た場合は諦めて新規ボーン検討よろしくお願いします。

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そして、ズボン系の足を検証した時に今までの素体で破綻が生じました。
そっか、スカート前提で作ってた素体だったから…!
というわけで、ここから素体の足に修正を入れています。

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 ひとまず思いついた変則パターンも検証。
顔にかかってくるエリは、顔パーツにグループ化してしまえば問題無いと思います。
どうしても見栄えがおかしくなっちゃうのは肩をすっぽり覆うケープ。
両腕パーツにもケープの一部を描いてグループ化するなど苦肉の策で対応しています。

ちなみに、服を考慮したそでや足の関節の描き方

関節の中心は動かさず、必要な大きさに応じて関節の円を拡縮してそでやズボンを作っています。
中心を動かすとSpineで作られた骨の位置からずれちゃいますからね。

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まとめと所感

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 今回の検証終了後、修正した素体。
下半身をズボン・スカートどちらもいけるようにまるっと描き直しました。

実際に作成するとなったら、動きの種類と動きのイメージは関係者間でたくさん練ったほうがよさそです。
あとから動きが追加・修正になったりするとホンマきついですぞこれは…。
とりあえず今日作った素体で、そでやボトムは多くのものに対応できそうです。

次回こそは今回作った素体や服を応用したキャラを作成し、改めて動きも検証してみたいと思います!
それでは~。